糖尿病性ケトアシドーシスに合併した急性下腸間膜動脈閉塞症の1手術例

小熊　潤也, 青木　真彦, 細田　桂, 城戸　啓, 夏　錦言, 田村　光, 雨宮　哲

大田原赤十字病院外科

　症例は71歳の男性で，一昼夜続いた頻尿とその後出現した腹部膨満感を主訴に当院を受診した．高血糖，尿中ケトン体陽性，および代謝性アシドーシスを認め，糖尿病性ケトアシドーシスと診断し，緊急入院のうえ，保存的治療をただちに開始した．入院後腹部膨満感が徐々に増悪し，腹部CTを施行したところ，下腸間膜動脈根部の閉塞，同支配領域の腸管の濃染不良および直腸狭窄を認めた．下部消化管内視鏡検査を施行したところ，直腸に軽度の狭窄を認め，さらにその口側で広範な粘膜の全周性壊死を認めた．下腸間膜動脈閉塞症による広範な支配腸管の壊死と診断し，緊急手術を施行した．下行結腸から直腸にかけて広範な大腸壊死を認めた．壊死腸管を切除，断端は端々吻合し，さらに回腸人工肛門を造設した．術後経過は良好であった．本症例は，糖尿病性ケトアシドーシスによる高度の脱水が動脈閉塞を起こした原因と考える．

索引用語
acute inferior mesenteric arterial occlusive disease, diabetic ketoacidosis, emergency surgery

別刷請求先
小熊　潤也　〒324-8686　大田原市住吉町2-7-3　大田原赤十字病院外科

受理年月日
2007年4月25日

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