症例報告
腹壁瘢痕ヘルニアと鑑別を要したSpigelヘルニア多発の1例
樫塚 久記, 山本 雅敏, 西脇 英敏, 植田 剛, 細井 孝純, 今川 敦史
済生会中和病院外科
症例は虫垂切除既往のある75歳の女性で,腹痛と嘔吐を主訴に当科に入院となった.右下腹部に弾性軟の15×10 cmの腫瘤を認めた.腹部CTで右下腹部の外腹斜筋腱膜の菲薄化と内腹斜筋腱膜および腹横筋腱膜の欠損を認めた.小腸造影X線検査でヘルニア内容の小腸に狭窄・拡張を認めなかった.Spigelヘルニアと診断し,手術を施行した.手術所見では,虫垂炎の手術瘢痕部より頭側の腹直筋外縁にSpigel腱膜の欠損と外腹斜筋腱膜下に脱出するヘルニア嚢を二つ認め,Spigelヘルニア多発と診断した.なお,ヘルニア内容物は手術時すでに還納していた.ヘルニア嚢をおのおの切除およびヘルニア門を結節縫合にて閉鎖した.今回,我々は腹壁瘢痕ヘルニアと鑑別を要したSpigelヘルニア多発の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語
Spigelian hernia, cicatricial hernia
日消外会誌 40: 1864-1867, 2007
別刷請求先
樫塚 久記 〒573-8511 枚方市星丘4-8-1 星ヶ丘厚生年金病院外科
受理年月日
2007年5月31日
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