症例報告
骨格筋転移を来した皮膚筋炎合併胃癌の1例
西川 和宏, 田中 康博, 藤井 眞, 森本 芳和, 松田 宙, 広田 将司, 岩瀬 和裕*
大阪府立急性期・総合医療センター外科, りんくう総合医療センター市立泉佐野病院外科*
皮膚筋炎合併胃癌において骨格筋転移を来した極めてまれな1例を経験したので報告する.症例は65歳の男性で,主訴は筋力低下,食欲不振.顔面・前胸部に不定形紅班あり.両側手指背側にゴットロン兆候あり.CPK高値と胃体上部に3型腫瘍を認めた.皮膚筋炎合併胃癌と診断し,ステロイド投与開始3週後胃全摘術を施行した.病理組織学的検査はpor1,pT2(SS),pN1,pH1,pP0,CY0,pM0,Stage IVであった.術後1か月目から約7か月間TS-1による化学療法を施行した.CEA値は正常化し筋力低下は改善した.術後9か月目に右肩背側,右大腿外側,右膝上内側に有痛性の腫瘤が出現した.MRIにて右外側広筋,棘下筋内にリング状に濃染される腫瘤像を認めた.大腿外側の経皮吸引針生検にて転移性腺癌と診断した.Paclitaxelによる化学療法を開始したが,肝転移巣の増大,傍大動脈リンパ節の腫大と腹水を認め,術後11か月で死亡した.
索引用語
gastric cancer, dermatomyositis, skeletal muscle metastasis
日消外会誌 40: 1887-1892, 2007
別刷請求先
西川 和宏 〒558-8558 大阪市住吉区万代東3-1-56 大阪府立急性期・総合医療センター外科
受理年月日
2007年5月30日
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