症例報告
肝切除後孤立性リンパ節転移の発見を契機として原発巣の位置が判明した微小十二指腸カルチノイドの1例
泉 貞言, 塩田 邦彦
香川県立中央病院外科
症例は61歳の女性で,平成18年1月に多発性嚢胞形成性肝腫瘍に対し肝部分切除術を施行した.病理組織学的診断がカルチノイドであったため,術後に検血・CT・胃および大腸内視鏡検査などにて原発巣検索を施行したが原発巣は認められなかった.同年6月にPET/CTを施行したところ左腎臓下極レベル大動脈左側に明らかな集積を認め,小腸腫瘍あるいはリンパ節転移を疑い開腹手術を施行した.トライツ靭帯近傍の後腹膜内に直径2 cmのリンパ節腫大と十二指腸第III部に直径1 cmの腫瘤を認めたため十二指腸第III~IV部にかけて切除した.病理組織学的検査結果は十二指腸カルチノイドおよびリンパ節転移であった.先に切除した肝病変も同様の組織像を呈しており,転移病変として矛盾しない所見であった.発見が困難な微小カルチノイドの原発巣の位置を転移性肝腫瘍切除後5か月目のPET/CTで孤立性リンパ節転移を発見したことにより見出すことができた興味深い症例であったため報告した.
索引用語
duodenum, liver carcinoid, PET
日消外会誌 40: 1898-1903, 2007
別刷請求先
泉 貞言 〒760-8557 高松市番町5-4-16 香川県立中央病院外科
受理年月日
2007年5月30日
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