症例報告
大動脈周囲リンパ節への著明な跳躍転移を認めたガストリノーマの1例
井上 昌也, 佐野 力, 島田 和明, 阪本 良弘, 奈良 聡, 小菅 智男
国立がんセンター中央病院肝胆膵外科
大動脈周囲リンパ節への著明な跳躍転移を認めたガストリノーマの1例を経験したので報告する.症例は56歳の女性で,多発性十二指腸潰瘍の診断で経過観察されていたが,水様性下痢が出現し,改善傾向なく近医を受診した.腹部CTで膵頭部に25 mm大の腫瘤を指摘され当院に紹介となった.ホルモン検査で血中ガストリンが異常高値で,膵頭部のガストリノーマと診断した.亜全胃温存膵頭十二指腸切除術中に大動脈周囲リンパ節への転移を確認したため,後腹膜リンパ節郭清を併施した.病理組織学的検査では,ガストリン染色陽性の膵内分泌腫瘍であり,ガストリノーマと診断した.腫瘍周囲の所属リンパ節への転移を認めなかったが,大動脈周囲リンパ節への著明な跳躍転移を認めたまれな症例と考え,若干の考察を加え報告する.
索引用語
Zollinger-Ellison syndrome, gastrinoma, skip metastasis
日消外会誌 40: 1904-1909, 2007
別刷請求先
佐野 力 〒104-0045 中央区築地5-1-1 国立がんセンター中央病院肝胆膵外科
受理年月日
2007年5月30日
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