症例報告
増大傾向を認めた脾リンパ管腫の1例
柴田 耕治, 塩見 正哉, 東島 由一郎, 渡邊 克隆, 尾辻 英彦, 山口 直哉, 神谷 順一
愛知県厚生連加茂病院外科
症例は58歳の男性で,56歳の時に左腎癌で根治的腎摘除術を受けている.腫瘍の大きさは72 mmでありリンパ節転移は陰性であった.術後はインターフェロン治療を施行した.術前や術直後の画像診断では脾臓に腫瘍は認めなかったが,術後6か月のCTで脾臓に14×10 mmの大きさの腫瘤が出現した.術後16か月には腫瘤は20×16 mmに増大したため,腎癌脾転移を疑い,脾臓を摘出した.腫瘍は淡赤色スポンジ様であり,病理組織学的に脾リンパ管腫と診断した.最近24年間の日本語文献検索では増大傾向を認めた脾リンパ管腫の報告は4例であり,脾リンパ管腫が新たに出現したとの報告はない.本例が急速に増大したものか,新たに出現したものか不明であるが,まれなリンパ管腫と考え報告する.
索引用語
splenic lymphangioma, nephrectomy
日消外会誌 40: 1933-1937, 2007
別刷請求先
柴田 耕治 〒471-8505 豊田市元城町3-17 愛知県厚生連加茂病院外科
受理年月日
2007年5月30日
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