症例報告
上腸間膜静脈・門脈血栓症の保存治療後に十二指腸横行結腸瘻形成と腸閉塞を来した1例
斎藤 健一郎, 芝原 一繁, 黒川 勝, 森山 秀樹, 長谷川 洋
富山赤十字病院外科
症例は76歳の女性で,上腹部痛,悪心・嘔吐にて来院し腹部造影CTで上腸間膜静脈・門脈血栓症と診断された.腸管壊死を示唆する所見は認めず,ヘパリンの持続点滴静注(10,000単位/24hr)を行い症状は軽快した.発症から4か月後に再び悪心・嘔吐が出現し腸閉塞を発症した.イレウス管造影検査にて上部空腸での高度狭窄と十二指腸横行結腸瘻を認め手術を施行した.トライツ靭帯より約40 cm肛門側の空腸に4 cm長の著明な狭窄部位を認め小腸部分切除術を施行し軽快退院した.上腸間膜静脈・門脈血栓症では比較的早期に腸管壊死や腸閉塞を併発し手術治療を要することも多いが本症例のように晩期にも腸閉塞を発症することがあり,軽快後も経過観察が必要である.
索引用語
mesenteric and portal vein thrombosis, ileus, internal intestinal fistula
日消外会誌 40: 1944-1949, 2007
別刷請求先
斎藤健一郎 〒930-0859 富山市牛島本町2-1-58 富山赤十字病院外科
受理年月日
2007年5月30日
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