症例報告
術後補助化学療法中に発症したニューモシスチス肺炎の1例
大野 玲, 上田 吉宏, 吉田 謙, 谷口 和樹, 永原 誠, 石丸 神矢, 石田 孝雄, 波多野 吉治*
中野総合病院外科, 同 病理部*
患者は79歳の女性で,回腸原発悪性リンパ腫のため回盲部切除後,補助化学療法としてcyclophosphamide,adriamycin,vincristine,prednisolone(CHOP)を施行した.2クール施行後より息切れと発熱が発現した.胸部X線単純検査および胸部CTにて肺門を中心としたスリガラス陰影を認めた.β-Dグルカン高値のためニューモシスチス肺炎(pneumocystis pneumonia;以下,PCP)と診断し,バクトラミンおよびステロイドを使用したところ著効し自覚症状および画像所見も改善した.PCPは日和見感染症であり,強力な免疫抑制療法時やHIV感染者,臓器移植患者のみならず抗癌剤による化学療法時に発症するリスクが高い.化学療法による副作用として発症するPCPは早期診断,早期治療が重要と考えられた.
索引用語
pneumocystis pneumonia, terminal malignant lymphoma, chemotherapy
日消外会誌 40: 1977-1981, 2007
別刷請求先
大野 玲 〒164-8607 中野区中央4-59-16 中野総合病院外科
受理年月日
2007年5月30日
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