症例報告
隆起型を呈した早期食道胃接合部印環細胞癌の1例
澤岻 安勝, 佐村 博範, 大城 崇司, 友利 寛文, 下地 英明, 西巻 正
琉球大学医学部器官病態医科学講座病態消化器外科学分野
胃の印環細胞癌は大部分が陷凹型であり,隆起型はまれである.今回,我々は隆起型を呈した早期胃印環細胞癌を経験したので報告する.症例は61歳の男性で,2004年4月住民検診にて,胃噴門部に透亮像を指摘された.上部消化管内視鏡検査では,胃噴門部に表面不整な小隆起病変を認め,生検にて印環細胞癌が認められた.術前診断は,0-I型の胃癌で,深達度SM,画像上転移は認められなかった.同年7月中旬,噴門側胃切除,空腸間置術を施行した.切除標本では,食道胃接合部に17×8 mmの隆起性病変を認め,病理組織学的検査所見は病変の中心部でわずかに粘膜下層に浸潤する早期胃癌で細胞外粘液を伴う印環細胞癌が主体をなしていたが,腫瘍の深部は管状腺癌を呈していた.MIB免疫染色によるラベリングインデックスは印環細胞癌成分が14.2%,管状腺癌成分は9.8%であった.以上より,本例の印環細胞癌は先行発生した管状腺癌より続発したものと推測された.
索引用語
signet-ring cell carcinoma, protruding gastric cancer
別刷請求先
澤岻 安勝 〒903-0215 中頭郡西原町字上原207 琉球大学医学部器官病態医科学講座病態消化器外科学分野
受理年月日
2007年6月27日
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