症例報告
食道癌胃壁内転移の1例
上原 正弘, 間中 大, 松谷 泰男, 王子 裕東, 竹村 一徳, 清水 正樹, 野口 雅滋
京都桂病院外科
症例は67歳の男性で,嚥下困難,乾性咳嗽にて当院受診.既往歴に特記事項なく,家族歴は叔母が咽頭癌であった.精査にて食道癌(Lt,1型,T3N0M0=Stage II)と胃癌が2病変(U,小彎,1型,T2(MP)N1(#3)M0, L,後壁,0-IIc, T1(M)N0M0)と診断され手術を施行した.手術は右開胸開腹食道亜全摘術,胃全摘術,胆嚢摘出術,2領域郭清,胸骨後経路頚部食道結腸吻合―結腸十二指腸端々吻合術を施行した.病理組織学的検査結果は食道,胃体上部病変ともに扁平上皮癌で食道病変は深達度sm3,胃体上部に6 cm大の1型が存在した.前庭部の0-IIc型は高分化型腺癌であった.リンパ節転移は#108,#3に認められ扁平上皮癌の所見であった.食道癌の壁内転移は7~17%に認められ,胃壁内転移は1.0~2.7%と報告されている.胃壁内転移を伴う症例は,伴わない症例に比べ有意に予後が悪いと報告されている.壁内リンパ管を介した胃壁内転移が考えられる本症例に関しても術後11か月間無再発に経過しているが,今後注意深く経過を行う必要がある.
索引用語
esophageal carcinoma, superficial cancer, gastric-wall metastasis
別刷請求先
上原 正弘 〒615-8256 京都市西京区山田平尾町17 京都桂病院外科
受理年月日
2007年6月27日
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