症例報告
術前化学療法が奏効したAFP産生胃癌の1例
湯浅 康弘, 沖津 宏, 山村 陽子, 滝沢 宏光, 石倉 久嗣, 一森 敏弘, 石川 正志, 木村 秀, 阪田 章聖
徳島赤十字病院外科
症例は66歳の男性で,慢性B型肝炎のため経過観察中,2006年2月,#12腹腔内リンパ節腫大を指摘され,内視鏡検査で胃噴門直下に4 cm大の1型腫瘍を認め乳頭状腺癌と診断された.腫瘍マーカーはAlpha-fetoprotein(以下,AFP)が333 ng/mlと高値であった.T2N3M0:stage IVの診断で化学療法を行った.TS-1(120 mg/日)をday 1~14, day1およびday8にDocetaxel(60 mg/日),CDDP(10 mg/日)をday1~5, 8~12に経静脈投与した.画像上PRが得られ,AFP値も45 ng/mlと低下し,胃全摘を行った.病理組織学的診断では原発巣に癌の遺残はなく,郭清リンパ節にもGrade 2の効果が得られた.そのうち,1個にのみ腫瘍の残存を認め,AFP染色陽性であった.TS-1による補助化学療法を3コース施行し,術後14か月経過した現在再発はない.化学療法が奏効したAFP産生胃癌の1例を報告する.
索引用語
AFP producing gastric cancer, lymph node metastasis, chemotherapy
別刷請求先
湯浅 康弘 〒773-8502 小松島市小松島町字井利ノ口103 徳島赤十字病院
受理年月日
2007年6月27日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|