症例報告
門脈血栓を合併した十二指腸海綿状血管腫の1例
柿沼 大輔, 中村 慶春, 内田 英二, 相本 隆幸, 張 一光, 増田 剛太郎*, 小野寺 浩之*, 高崎 秀明*, 吉田 寛, 田尻 孝
日本医科大学外科, 神栖済生会病院外科*
十二指腸血管腫の出血後に門脈血栓を合併した非常にまれな症例を経験したので報告する.症例は63歳の女性で,上腹部痛の精査・加療目的で入院したところ,5日目に突然下血が認められた.腹部CTでTreitz's靱帯近傍の後腹膜に境界不明瞭な腫瘍像が認められ,また入院時には存在しなかった門脈から上腸間膜静脈にかけての広範な血栓形成を認めた.上下部消化管内視鏡検査では病変部を指摘できず,小腸内視鏡検査にて十二指腸第4部に暗赤色顆粒状の腫瘍が認められ,生検にて血管腫と診断された.肝機能障害や,下痢,腹痛など血栓に由来する症状が認められなかったことから,まずは出血の原因除去を先行させる方針とし,十二指腸第3, 4部切除,空腸部分切除,十二指腸空腸吻合術を施行した.術後の経過は良好で3か月後の腹部CTでは,門脈血栓は自然消退していた.
索引用語
duodenal cavernous hemangioma, portal thrombosis
別刷請求先
柿沼 大輔 〒113-8603 文京区千駄木1-1-5 日本医科大学付属病院外科
受理年月日
2007年5月31日
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