症例報告
肝細胞癌に対する経皮的ラジオ波焼灼療法後に発症した横隔膜ヘルニア嵌頓の1例
坂部 龍太郎, 山下 芳典, 平林 直樹, 多幾山 渉, 小林 美恵, 亀岡 稔, 中島 亨, 佐藤 幸雄, 佐伯 修二, 向田 秀則
広島市立安佐市民病院外科
ラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation;以下,RFA)は肝腫瘍に対する低侵襲治療法として広く実施されているが,合併症としてさまざまな周囲組織臓器の損傷が報告されている.我々は肝細胞癌に対するRFA後に発症した横隔膜ヘルニア嵌頓の1例を経験したので報告する.患者は75歳の男性で,肝右葉S4, S7, S8の肝細胞癌に対して肝動注療法と経皮的RFAを受けていた.RFAから10か月後に突然の腹痛と腹部膨満にて救急搬送された.胸部X線検査では右横隔膜上に異常ガス像を認め,胸腹部CTでは肝彎曲部の結腸が右胸腔内に脱出していた.横隔膜ヘルニア嵌頓によるイレウスと診断し,緊急手術を施行した.肝腫瘍に接する横隔膜に直径3 cmのヘルニア門を認めた.結腸右半切除,回腸人工肛門造設,ヘルニア修復術を施行し,術後149病日に退院した.
索引用語
diaphragmatic hernia, radiofrequency ablation, hepatocellular carcinoma
別刷請求先
坂部龍太郎 〒731-0293 広島市安佐北区可部南2-1-1 広島市立安佐市民病院外科
受理年月日
2007年6月27日
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