症例報告
術前CTで診断し緊急開腹手術で救命しえた特発性中結腸動脈瘤破裂の1例
小熊 潤也, 青木 真彦, 細田 桂, 城戸 啓, 夏 錦言, 田村 光, 雨宮 哲
大田原赤十字病院外科
62歳の男性で,上腹部痛を主訴に当院を受診した.腹部CTで腹腔内液体貯留および横行結腸間膜内の血腫の所見があり,中結腸動脈瘤破裂による腹腔内出血を疑ったが,明らかな造影剤の腹腔内への漏出はなく,vital signも安定していたため,厳重に経過観察していた.入院後血圧低下,意識混濁を認め,再度CTを施行したところ,血腫の増大を来し,中結腸動脈瘤破裂による出血性ショックと診断し,緊急手術を施行した.出血源が中結腸動脈左枝の動脈瘤破裂であることを確認し,同血管を結紮,切離した.さらに,その支配領域である横行結腸左側を部分切除した.その後,その支配領域である横行結腸左側の色調変化を認めたため,横行結腸部分切除術を行い,さらに回腸人工肛門造設術も行い,吻合部の安静を図った.術後は経過良好であった.術前の造影CTで動脈瘤の存在を確認できたため,開腹時も速やかに止血処置ができ救命しえたと考える.
索引用語
spontaneously ruptured aneurysm of the middle colic artery, hematoma in the mesenterium, emergency surgery
別刷請求先
小熊 潤也 〒324-8686 大田原市住吉町2-7-3 大田原赤十字病院外科
受理年月日
2007年6月27日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|