症例報告
アカラシア術後に発生したBarrett食道腺癌の1例
間宮 俊太, 神宮 和彦, 夏目 俊之
埼玉県厚生連幸手総合病院外科
症例は43歳の女性で,19歳時にアカラシアにてgastric patch術を施行されていた.2002年9月に通過障害が出現し,2003年1月噴門部癌の診断で当科受診となった.精査の結果long-segment Barrett's esophagusに発生したBarrett食道癌と診断し,同2月横隔膜合併切除を伴う右開胸開腹胸部食道亜全摘噴門側胃切除,胸腔内食道胃管吻合術を施行した.切除標本では,著明に拡張した食道胃接合部に周囲をBarrett上皮に囲まれた径5×4 cmの2型腫瘍を認めた.病理組織学的検査の結果は低分化型管状腺癌,pStageIVa(深達度T3,リンパ節転移N4),根治度Bであった.術後TS-1を服用し1年6か月間無再発で経過されたが,肝再発を来し術後1年10か月で原病死された.アカラシアに扁平上皮癌が合併することは報告されているが,腺癌の報告はまれである.本症例も含めアカラシアに合併した腺癌について文献的考察を加え報告する.
索引用語
achalasia, adenocarcinoma, gastric patch
別刷請求先
神宮 和彦 〒340-0114 幸手市東4-14-24 幸手総合病院外科
受理年月日
2007年7月25日
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