症例報告
十二指腸球部原発hepatoid adenocarcinomaの1例
間下 直樹, 横山 裕之, 越川 克己, 谷口 健次, 末永 裕之
小牧市民病院外科
十二指腸球部原発hepatoid adenocarcinomaの1切除例を経験したので報告する.症例は76歳の男性で,健診目的の胃内視鏡検査にて十二指腸球部に2/3周性の隆起性腫瘍を指摘され当院受診となった.内視鏡検査の生検で未分化癌または低分化腺癌が疑われた.腹部造影CTでは主病変の他に明らかな転移は認められなかった.十二指腸球部原発悪性腫瘍の診断で十二指腸球部を含む幽門側胃切除術を施行した.病理組織学的検査でhepatoid adenocarcinomaと診断され,免疫染色でAFPが強陽性であった.術後第17病日の血清AFP値は1,133 ng/mlと異常高値を示していたがその後基準値以下であった.十二指腸原発のhepatoid adenocarcinomaを含むAFP産生腫瘍の報告例は本症例を含めて16例と極めてまれであり,局所浸潤や肝転移を高率に伴い予後不良とされている.治療法に関する一定の見解は定まっていないが,文献的考察を加えて報告する.
索引用語
hepatoid adenocarcinoma, duodenum, AFP
別刷請求先
間下 直樹 〒485-8520 小牧市常普請1-20 小牧市民病院外科
受理年月日
2007年7月25日
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