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第41巻 第3号 2008年3月 [目次] [全文 ( PDF 571KB)]
症例報告

TS-1/CPT-11を用いた術前化学療法ののち切除した同時性肝転移を伴う進行胃癌の1例

高山 智燮, 辰巳 満俊, 鎌田 喜代志, 岡山 順司, 樫塚 久記, 久下 博之, 植田 剛, 中村 孝人, 丸山 博司**, 木村 真策***

星ヶ丘厚生年金病院外科, 同 内科, 同 病理部**, 同 薬剤部***

 症例は63歳の男性で,上腹部痛を主訴に来院された.上部消化管造影検査と内視鏡検査にて胃体下部に3型腫瘍を認めた.また,腹部造影CTと腹部超音波検査にて肝S4に30 mm大の肝転移を認めた.単発性肝転移を伴う進行胃癌の診断にて術前化学療法を施行した.TS-1 100 mg/body/dayを3週投与2週休薬,CPT-11は80 mg/bodyを第1日目と15日目に点滴静注し,これを1コースとした.2コースを終了後,肝転移巣の著明な縮小を確認し,開腹手術を行った.術中超音波検査にて肝転移巣は確認されず,幽門側胃切除術,胆嚢摘出術,リンパ節郭清D2+α,R-Y再建を施行した.術後補助化学療法としてTS-1を1年間継続し,術後3年経過した現在無再発生存中である.同時性肝転移を伴う進行胃癌は肝病変が切除可能であれば,まず外科的治療が優先されることが多い.しかし,本症例は術前化学療法が有効である可能性を示唆した.

索引用語
gastric cancer, liver metastasis, neoadjuvant chemotherapy

日消外会誌 41: 299-304, 2008

別刷請求先
高山 智燮 〒573-0013 枚方市星丘4-8-1 星ヶ丘厚生年金病院外科

受理年月日
2007年9月26日

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