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第41巻 第3号 2008年3月 [目次] [全文 ( PDF 479KB)]
症例報告

腸回転異常症を伴う右傍十二指腸ヘルニア嵌頓の1例

川俣 太, 玉置 透, 津田 一郎, 山田 理大, 坂田 博美, 小野寺 一彦, 久木田 和丘, 目黒 順一, 米川 元樹, 川村 明夫

特定医療法人北楡会札幌北楡病院外科

 傍十二指腸ヘルニアは腸閉塞の原因としてはまれだが,その術前診断は困難で開腹所見にて診断されることが多い.症例は開腹胆嚢適出術の既往がある65歳の女性で,心窩部痛と胆汁性嘔吐を主訴に入院した.腹部CTにて膵頭部の背側に拡張した小腸ガス像を認め,器質的小腸閉塞を疑い,イレウス管を挿入した.しかし,症状の改善を認めず,入院後3日目に緊急手術を施行した.回腸末端近傍の腸間膜にヘルニア門が存在し,腹腔側へ嵌入した10 cmの回腸が絞扼状態にあり,残りの小腸係蹄は上行結腸間膜背側の後腹膜に包みこまれ緊満していた.腹腔内には,Treitz靭帯を認めず,内ヘルニアを伴う腸回転異常症と診断し,ヘルニア門を大きく開放し,回盲部・上行結腸を授動することで回腸の絞扼を解除した.還納後は絞扼回腸の血流が改善したため,腸切除は回避された.内ヘルニアを伴う腸回転異常症はまれであるが,成人の腸閉塞の原因として念頭におく必要がある.

索引用語
intestinal malrotation, right paraduodenal hernia, strangulated ileus

日消外会誌 41: 305-310, 2008

別刷請求先
川俣  太 〒060-8648 札幌市北区北14条西5丁目 北海道大学病院第1外科

受理年月日
2007年9月26日

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