症例報告
術前診断が困難であった退縮性腸間膜炎の1例
小島 豊, 松本 文夫, 三上 陽史, 行方 浩二, 武井 雅彦, 杉本 起一, 藤原 大介, 小山 裕介
越谷市立病院外科
症例は75歳の男性で,平成12年10月に膀胱癌に対し経尿道的膀胱腫瘍摘出術を施行.以後,外来で経過観察されていた.平成16年5月に腹部CTで小腸腸間膜に粗大な石灰化を指摘されたが経過観察.平成17年7月に施行した同検査で腸間膜を巻き込む境界不明瞭で石灰化を伴う腫瘤を指摘,平成18年2月に施行した同検査で腫瘤の増大と石灰化の増加を認め,当科を紹介受診.悪性疾患も否定できず平成18年5月開腹手術を施行した.手術は腫瘤を含め小腸部分切除術を施行.病理組織学的検査結果は退縮性腸間膜炎の診断であった.退縮性腸間膜炎は腸間膜脂肪織炎の1病期とされているが,比較的まれな疾患である.本症のように高度に石灰化を伴う腸間膜腫瘤を認めた場合,退縮性腸間膜炎も考慮し診断,治療すべきであると考えられた.
索引用語
retractile mesenteritis, mesenteric panniculitis
別刷請求先
小島 豊 〒343-8577 越谷市東越谷10-47-1 越谷市立病院外科
受理年月日
2007年9月26日
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