症例報告
肝鎌状間膜裂孔ヘルニアの1例
加藤 彩, 金住 直人, 鈴木 祐一, 木村 次郎
岡崎市民病院外科
症例は81歳の男性で,腹部手術歴なし.腹痛,嘔吐を主訴に近医を受診し,イレウスの診断で当院に紹介となった.腹部X線検査では上腹部に腸管の液面形成像を認めた.腹部CTでは,小腸の拡張像を認めるものの,絞扼の所見は見られなかった.イレウス管を挿入し,保存的に経過観察をしていたが,小腸造影検査にて小腸の狭窄を2か所で認め,再検にても変化を認めないため,内ヘルニアによるイレウスを疑い手術を施行した.開腹すると,肝鎌状間膜の異常裂孔に小腸が嵌入していた.肝円索を切離し,裂孔を開放した.嵌頓小腸の壊死は見られず,腸切除は行わなかった.術後経過は良好で,術後10日目に軽快退院となった.肝鎌状間膜裂孔ヘルニアは極めてまれであり,調べえた範囲内で自験例が本邦8例目であり文献的考察を加えて報告する.
索引用語
internal hernia, falciform ligament, bowel obstruction
別刷請求先
加藤 彩 〒460-0001 名古屋市中区三の丸4-1-1 独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター外科
受理年月日
2007年9月26日
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