症例報告
クローン病合併小腸癌の1例
肥田 侯矢, 川村 純一郎, 長山 聡, 桜井 孝規1), 水本 吉則2), 坂井 義治
京都大学外科, 同 病理部1), 国立京都医療センター消化器科2)
クローン病合併小腸癌の1例を報告する.症例は49歳の男性で,22歳時にクローン病を発症し,サラゾピリン治療を受け症状が軽快した.36歳時に消化管穿孔にて手術,以後イレウス症状を繰り返し,内視鏡的拡張術を受けていた.2006年4月(49歳),狭窄症状が改善しないため手術.トライツ靭帯から130 cmを超えた部分より複数か所の狭窄部分を認め,回腸末端10 cmを温存し,長さ80 cmの小腸を切除した.病理組織学的検査にて90 mmにわたるdysplasiaの広がりを粘膜内に認め,粘膜下層から固有筋層に至る癌部(T2 N0 M0)も確認された.我が国においてクローン病の罹患者数は年々増加傾向にあり,小腸癌の報告も増加してきている.クローン病の高度狭窄病変に対しては,悪性腫瘍の可能性を念頭においた治療が必要である.
索引用語
Crohn's disease, carcinoma, small bowel
別刷請求先
肥田 侯矢 〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54 京都大学外科
受理年月日
2007年9月26日
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