症例報告
直腸癌術後の腹腔内再発を疑った左卵巣原発中胚葉性混合腫瘍の1例
本間 直健1)2), 平 康二1), 菱山 豊平1), 中村 豊1), 真名瀬 博人1)2), 宮本 正樹2)
旭川日本赤十字病院外科1), 北海道大学大学院医学研究科腫瘍外科2)
中胚葉性混合腫瘍(mixed mesodermal tumor;以下,MMT)は極めて悪性度の高い腫瘍である.なかでも卵巣原発MMTは比較的まれであり,予後不良とされているが,cytoreductive surgeryと新たな化学療法の導入によって,今後,予後の改善が期待される疾患である.今回,我々は直腸癌術後に消化管出血を機に発見され,術前に局所再発または限局性腹膜再発が疑われた左卵巣原発MMTの症例を経験した.大腸癌術後に発見された限局する単発の腹腔内腫瘤に対して外科的切除を行うことは,腹膜再発の場合でも長期生存が期待できるとともに,他の原発性腫瘍の場合でも治療方針を決定するうえで有用であることから,考慮すべき治療法の一つであると考えられた.また,retrospectiveな検討ではあるが,検索しえたかぎりでは,自験例は卵巣原発MMTが急速に増大することを裏付ける経過を観察できた初の報告である.
索引用語
peritoneal recurrence, mixed mesodermal tumor, rectal cancer
別刷請求先
本間 直健 〒060-8638 札幌市北区北15条西7丁目 北海道大学大学院医学研究科腫瘍外科
受理年月日
2007年9月26日
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