積極的な集学的治療が奏効し長期生存している多発性肝転移胃癌の1例

岡　義雄, 西嶌　準一, 伊豆蔵　正明, 宮崎　知, 中野　博史, 西田　幸弘, 奥山　正樹, 曺　英樹, 酒田　和也, 玉井　正光^＊

東大阪市立総合病院外科, 同　病理^＊

　症例は60歳の男性で，めまい，タール便を主訴に来院した．血液検査で貧血と高CEA血症を認め，上部内視鏡検査，CTで多発肝転移とリンパ節転移を伴う胃癌と診断され，まずlow-dose 5-fluorouracil（以下，5-FU）/CDDP療法を行った．その結果，PRの効果を得たので幽門側胃切除術，D2郭清，肝部分切除術を施行した．5-FU肝動注を8か月行ったが，術後1年8か月，肝転移を生じ，5-FU肝動注を再開．効果NCで，単発のため再度肝部分切除術を行った．初回手術より7年半経過した現在，再発なく，CEAも正常で健在である．胃癌肝転移症例の中には本例のように，積極的な集学的治療を行い，長期生存を得るものもあり，胃癌の肝転移だからといって諦めるべきではない．

索引用語
gastric cancer, hepatic metastasis

別刷請求先
岡　　義雄　〒578-8588　東大阪市西岩田3-4-5　東大阪市立総合病院外科

受理年月日
2007年10月29日

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