症例報告
右肝円索を合併した卵巣様間質を伴う肝内胆管嚢胞腺腫の1切除例
吉田 信, 樫山 基矢, 高梨 節二, 高木 拓実, 真崎 茂法, 河島 秀昭
勤医協中央病院外科
肝内胆管嚢胞腺腫はまれな肝嚢胞性腫瘍であり,中でも卵巣様間質を伴うものはCystadenoma with mesenchymal stromaとして報告されており,全例が女性である.また,右肝円索は肝内門脈枝分岐異常を伴うことが多く,肝切除の際に注意を要する.症例は72歳の女性で,腹部CTでは,肝S5-8に最大径6.0 cmの多房性嚢胞性病変を認め,壁の一部に石灰化を伴うが,嚢胞内の結節は認めなかった.血清CA19-9は高値を示した.肝嚢胞性腫瘍と診断し肝右葉切除を施行.肝円索は腫瘍近傍から肝内へ連続し,その左側に胆嚢を認めた.術中超音波検査所見では門脈左枝に臍部の形成は認めず,肝円索は門脈前区域本幹と連続していた.嚢胞内は隔壁を有し無色透明な粘液が貯留していたが,明らかな結節は認めなかった.病理組織学的検査所見より卵巣様間質を伴う肝内胆管嚢胞腺腫と診断.術後CA19-9値は正常化し,現在まで無再発生存中である.
索引用語
intrahepatic bile duct cystadenoma, mesenchymal stroma, right-sided round ligament
別刷請求先
吉田 信 〒007-8505 札幌市東区伏古10条2丁目15-1 勤医協中央病院
受理年月日
2007年9月26日
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