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第41巻 第5号 2008年5月 [目次] [全文 ( PDF 760KB)]
症例報告

著明なリンパ球浸潤を伴いHLA-DR抗原の発現がみられた食道低分化型腺癌の1例

御供 真吾, 岩谷 岳, 池田 健一郎, 木村 祐輔, 肥田 圭介, 藤原 久貴, 木村 聡元, 上杉 憲幸, 前沢 千早**, 若林 剛

岩手医科大学外科学講座, 同 中央臨床検査部臨床病理部門, 同 病理学第2講座**

 症例は56歳の男性で,嚥下障害を主訴に近医を受診した.胸部下部食道に潰瘍性病変を認め,生検にて腺癌の診断で胸部食道切除,3領域リンパ節郭清,後縦隔経路大彎側胃管再建を施行した.病理組織学的診断は低分化型腺癌で,いわゆるmedullary carcinoma with lymphoid stromaの像を呈していた.乳癌や胃癌におけるリンパ球浸潤を伴った癌は一般に予後良好とされており,胃癌ではEB virusの発癌への関与も指摘されている.しかし,同型の食道癌は報告例が少なく不明な点が多い.In situ hybridizationではEpstein-Barr virus(EBV)感染を示すEBERは陰性であった.また,免疫染色ではHLA-DR抗原が癌細胞に陽性に染色された.リンパ球浸潤を伴う食道癌におけるHLA-DR抗原の発現が,長期生存と関係している可能性が示唆され,文献的考察を加え報告する.

索引用語
esophageal cancer, lymphoid stroma, HLA-DR antigen

日消外会誌 41: 499-504, 2008

別刷請求先
御供 真吾 〒020-8505 盛岡市内丸19-1 岩手医科大学外科

受理年月日
2007年12月19日

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