症例報告
肝細胞癌に対する経皮的ラジオ波焼灼療法による遅発性横隔膜ヘルニア嵌頓の1例
黒崎 亮, 若井 俊文, 白井 良夫, 野村 達也, 丸山 聡, 石川 卓, 畠山 勝義
新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科学分野
肝腫瘍に対するラジオ波焼灼療法(以下,RFA)による横隔膜損傷に起因した合併症の報告はまれである.症例は78歳の女性で,C型肝硬変の経過観察中に肝S8横隔膜直下に直径15 mm大の肝細胞癌を指摘され,人工胸水併用経皮経胸腔的RFAを施行した.1年後に呼吸困難を主訴に入院したところ,腸閉塞症状を呈し,腹部CTにて右横隔膜ヘルニア嵌頓による腸閉塞と診断され緊急手術を施行した.RFA施行部対面の横隔膜に直径2 cmのヘルニア門を認め,回腸が胸腔内へ脱出し嵌頓していた.壊死部回腸部分切除と横隔膜ヘルニア修復術を施行した.ヘルニア門は1年前にRFAにて焼灼した部位の対面に存在していたことから,RFAによる熱損傷が原因と推察された.本症例では,経皮経胸腔的RFAを施行し1年後に発症しており,横隔膜ヘルニアをRFAの晩期合併症として念頭におくべきである.
索引用語
radiofrequency ablation, diaphragmatic hernia, complication
別刷請求先
黒崎 亮 〒951-8510 新潟市中央区旭町通1-757 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科学分野
受理年月日
2007年11月28日
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