症例報告
肝内胆管拡張を来したグリソン領域アミロイド沈着症の1例
岩槻 政晃, 金光 敬一郎, 近本 亮, 馬場 祥史, 岡部 弘尚, 高森 啓史, 別府 透, 廣田 昌彦, 猪山 賢一*, 馬場 秀夫
熊本大学大学院医学薬学研究部消化器外科学, 同 病理部*
症例は67歳の男性で,平成10年より消化管アミロイドーシスの診断で経過観察されていた.平成18年11月中旬,発熱,上腹部痛を認め,CTで左肝内胆管の拡張を指摘され,当科紹介となった.B3よりPercutaneous Transhepatic Cholangial Drainage(PTCD)を行い,B2,B3分岐部付近の狭窄を認めた.胆汁細胞診ではclass IIIであった.腹部超音波検査,CT,MRIでは明らかな腫瘤性病変は認めなかったが,腹部血管造影検査にて門脈左枝の狭窄を認めた.左肝内胆管癌の疑いで,平成19年1月,肝左葉切除術を施行した.病理組織学的検査は,グリソン域が好酸性無構造物の沈着で著明に拡大し,Congo-red染色陽性のアミロイド沈着であった.胆管上皮は異型細胞を認めず,肝細胞の類洞壁にアミロイドの沈着は認めなかった.以上より,グリソン域にアミロイドが沈着したことによる胆汁鬱滞が起因となった胆管炎と診断した.文献的考察を加えて報告する.
索引用語
amyloidosis, intrahepatic bile duct dilation, Glisson's capsule
別刷請求先
岩槻 政晃 〒860-8556 熊本市本荘1-1-1 熊本大学大学院医学薬学研究部消化器外科学
受理年月日
2007年12月19日
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