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第41巻 第6号 2008年6月 [目次] [全文 ( PDF 687KB)]
症例報告

胆嚢仮性動脈瘤破裂によりショックを呈した胆嚢出血の1例

野尻 卓也, 田辺 義明, 柳澤 暁, 遠山 洋一, 小林 進, 矢永 勝彦

東京慈恵会医科大学附属柏病院外科, 東京慈恵会医科大学外科

 症例は胃全摘術の既往ある61歳の男性で,発熱,右季肋部痛,吐血の精査のため入院した.入院時には肝機能障害,高度の炎症所見を認めた.また,腹部US,単純CTでは壁肥厚を伴った腫大した胆嚢を認め,内部に血腫が存在したが胆嚢結石は認めなかった.入院後に施行した腹部造影CTでは胆嚢壁肥厚は軽快し血腫も消失しており,明らかな腫瘍性病変も指摘できなかった.腹部血管造影検査,上部内視鏡検査でも出血所見は認めなかった.以上より,出血性胆嚢炎と診断した.待機的に胆嚢摘出術を予定していたが,入院第7病日にショック状態に陥った.このため,胆嚢再出血と判断し緊急で開腹胆嚢摘出術を施行した.術中,胆嚢粘膜より噴出性の出血を認めた.組織学的には壊疽性胆嚢炎と診断された.術後に腹部血管造影検査所見を再検討し,胆嚢仮性動脈瘤が責任病変と判断した.上部消化管出血の症例では,胆道出血も念頭において精査する必要がある.

索引用語
gallbladder hemorrhage, cystic artery pseudoaneurysm

日消外会誌 41: 629-633, 2008

別刷請求先
野尻 卓也 〒277-8567 柏市柏下163-1 東京慈恵会医科大学附属柏病院外科

受理年月日
2007年12月19日

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