症例報告
ガストリン産生肝腫瘍を合併しZollinger-Ellison症候群を呈した多発性内分泌腺腫症1型膵グルカゴノーマの1例
進士 誠一, 田中 宣威, 古川 清憲, 横井 公良, 瀬谷 知子, 相本 隆幸, 金沢 義一, 吉岡 正人, 大秋 美治1), 田尻 孝2)
日本医科大学千葉北総病院外科, 同 病理部1), 日本医科大学外科2)
症例は55歳の女性で,腹痛,嘔気を主訴に近医を受診し,膵尾部腫瘍・肝腫瘍・十二指腸潰瘍を指摘され精査加療を目的に当科を紹介された.難治性十二指腸潰瘍と高ガストリン血症・高グルカゴン血症・高PTH血症・高Ca血症が認められた.また,腹部CTでは膵尾部に40×40 mmの充実性腫瘤と肝外側区域に10×20 mmの腫瘤性病変があり,頸部CTでは副甲状腺腫瘍が認められた.肝転移を伴う膵ガストリノーマによりZollinger-Ellison症候群を呈した多発性内分泌腺腫症1型(multiple endocrine neoplasia type 1;以下,MEN-1)と術前診断し膵体尾部切除+肝外側区域切除を行った.病理組織学的検査では,膵グルカゴノーマおよびガストリン産生肝腫瘍であり両腫瘍は異なるホルモンを産生し,膵内には多数の微小腺腫様病変を認めた.また,遺伝学的検査ではMEN-1遺伝子に変異を認めた.
索引用語
multiple endocrine neoplasia type 1, gastrinoma, glucagonoma
別刷請求先
進士 誠一 〒270-1694 印旛郡印旛村鎌苅1715 日本医科大学千葉北総病院外科
受理年月日
2007年12月19日
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