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第41巻 第6号 2008年6月 [目次] [全文 ( PDF 735KB)]
症例報告

透析アミロイドーシスにより難治性の麻痺性大腸イレウスを来した1例

山口 賢治, 山根 隆明, 平田 稔彦, 福田 精二

熊本赤十字病院外科, 同 病理

 症例は66歳の男性で,約30年間にわたる血液透析歴がある.3年程前よりイレウス症状を繰り返していたが,保存的に軽快していた.透析アミロイドーシスを疑い大腸内視鏡下生検を行うもアミロイドの沈着を確認できず確定診断には至っていない.今回,大腸の著明な拡張を来し,イレウスの診断で保存的に経過観察していたが改善せず,イレウス解除目的にS状結腸に人工肛門を造設した.しかし,大腸は固有筋層へのアミロイドの沈着により機能不全の状態に陥っていたため症状の改善にはつながらなかった.透析アミロイドーシスの場合,消化管平滑筋への多量アミロイド沈着が消化管運動機能障害を引き起こし,消化管障害が出現すると考えられているが,鏡視下生検でその病態を把握することは非常に困難である.長期透析患者では,透析アミロイドーシスが重症化して回復不能な腸管麻痺を来す病態があることを認識したうえで治療法を考慮する必要がある.

索引用語
dialysis-related amyloidosis, paralytic ileus

日消外会誌 41: 676-681, 2008

別刷請求先
山口 賢治 〒862-8520 熊本市長嶺南2-1-1 熊本赤十字病院外科

受理年月日
2008年1月30日

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