症例報告
巨大結腸と右側結腸穿孔を来した原発性アミロイドーシスの1例
境 雄大, 佐藤 浩一, 田村 亨, 田中 正則*, 須藤 泰裕
弘前市立病院外科, 同 臨床検査科*
症例は60歳の男性で,腹痛と腹部膨満感を主訴に当科に入院した.腹部は著明に膨満し,右上腹部に腹膜刺激症状を認めた.胸部・腹部単純X線写真で右横隔膜下の遊離ガス像と著明な横行結腸の拡張を認めた.消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,緊急手術を行った.結腸が著明に拡張し,上行結腸から右側横行結腸は菲薄化し,暗赤色を呈していた.右結腸曲に穿孔を認めた.結腸右半切除術を行い,端端吻合を行った.病理組織学的検査で結腸壁に全層性のアミロイド沈着を認め,ALアミロイドーシスと診断された.術後呼吸不全,後腹膜膿瘍,創感染を合併したが,改善し,術後55日目に退院した.消化管アミロイドーシスによる結腸穿孔は最も重篤な合併症の一つである.原因不明の消化管穿孔では消化管アミロイドーシスも念頭におく必要がある.自験例では縫合不全はなく救命しえたが,今後も消化管を含めた諸臓器病変の評価および適切な経過観察が必要である.
索引用語
amyloidosis, perforation, colon
別刷請求先
境 雄大 〒036-8562 弘前市在府町5 弘前大学大学院医学研究科胸部心臓血管外科学講座
受理年月日
2007年11月28日
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