症例報告
腸重積の解除により肛門機能温存手術が可能となった進行直腸癌の1例
吉田 直矢, 佐藤 伸隆, 山本 謙一郎, 前田 健晴, 田中 真一郎, 大堂 雅晴, 栗崎 貴, 片渕 茂, 芳賀 克夫, 池井 聰
国立病院機構熊本医療センター外科
症例は86歳の男性で,下血を主訴に精査を行い,直腸内腔全体を占める全周性のRb直腸癌と診断された.手術前の検討では肛門機能温存が不可能な低位直腸癌と診断され,腹会陰式直腸切断術が予定されたが,手術中に直腸癌による腸重積が判明し,これを解除することにより超低位前方切除術を行うことができた.下部直腸癌で内腔全体を占める腫瘍の場合,直腸癌による腸重積を考慮に入れ,慎重な術式の選択をする必要があることが示唆された.直腸癌による腸重積は極めてまれであり,若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語
invagination, rectal cancer, anal function-preserving surgery
別刷請求先
吉田 直矢 〒860-0008 熊本市二の丸1-5 国立病院機構熊本医療センター外科
受理年月日
2008年1月30日
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