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第41巻 第6号 2008年6月 [目次] [全文 ( PDF 581KB)]
症例報告

傍下行結腸窩に発生した腹膜窩ヘルニアの1例

野中 隆, 柴田 良仁, 黨 和夫, 本庄 誠司, 岡 忠之

独立行政法人国立病院機構嬉野医療センター外科

 症例は78歳の男性で,突然の腹痛が出現し近医を受診した.CTにて絞扼性イレウスが疑われ,当院へ救急搬送となる.腹部造影CTにて下行結腸背側から外側に一塊となった小腸ループ像を認め,造影効果も乏しく腸管の虚血が疑われた.内ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断し,緊急手術を施行した.手術所見では,下行結腸の中央部で壁側腹膜に不完全な癒合から生じる腹膜窩を認め,腹膜窩ヘルニアと診断した.小腸が50 cmにわたり嵌頓し,ヘルニア門を開放し整復するも,壊死を呈しており小腸切除を行った.ヘルニア門は単純縫合閉鎖して手術を終了した.術後経過は良好で,合併症なく第14病日に軽快退院した.下行結腸外側(傍下行結腸窩)の腹膜窩ヘルニアは非常にまれであり,文献的考察を加え報告した.

索引用語
internal hernia, strangulated intestinal obstruction, paracolic gutter hernia

日消外会誌 41: 700-704, 2008

別刷請求先
野中  隆 〒843-0301 嬉野市嬉野町大字下宿丙2436 独立行政法人国立病院機構嬉野医療センター外科

受理年月日
2008年1月30日

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