臨床経験
切除・非切除膵癌に対するGemcitabineを中心とした化学療法の有用性
大内田 次郎, 千々岩 一男, 今村 直哉, 永野 元章, 旭吉 雅秀, 大谷 和広, 甲斐 真弘, 近藤 千博
宮崎大学医学部腫瘍機能制御外科
膵癌(浸潤性膵管癌)の生存率は,Gemcitabineの使用により改善してきている.今回,教室における切除,非切除膵癌例で化学療法および化学放射線療法の有用性を検討した.1992年から2006年までに経験した140例の膵癌を対象とした.切除例は41例でそのうち切除時遠隔転移と肉眼的に癌遺残を認めた8例,上皮内癌1例の9例を除いた32例を切除群,非切除99例を非切除群とし,各群で治療の有無における予後を比較した.切除群で術後補助療法を施行した群と施行しなかった群の術後3年生存率はそれぞれ47%と19%,3年無再発率は48%と20%で術後補助療法群で有意に良好であった.非切除例でも1年生存率は26%と6%で,治療を施行した群が有意に良好であった.膵癌では,積極的な根治的外科切除に加えて術後補助療法を行うことによってさらに予後が改善し,非切除膵癌でも化学療法を中心とした治療により予後の延長を認め,その有用性が示された.
索引用語
adjuvant therapy, chemotherapy, pancreatic cancer
別刷請求先
千々岩一男 〒889-1692 宮崎郡清武町木原5200 宮崎大学医学部腫瘍機能制御外科
受理年月日
2007年11月28日
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