原著
幽門側胃切除術後Roux stasis syndromeの検討
見前 隆洋, 二宮 基樹, 西崎 正彦, 原野 雅生, 青木 秀樹, 小野田 正, 塩崎 滋弘, 大野 聡, 桧垣 健二, 高倉 範尚
広島市立広島市民病院外科
はじめに:幽門側胃切除術後にRoux-en-Y(以下,R-Y)再建を選択した時に,術後にRoux stasis syndrome(以下,RSS)の発症が問題となる.方法:1995年1月から2004年12月までの10年間に当院で胃癌に対して幽門側胃切除術後にR-Y再建法を施行した109症例を対象として,RSSに関して検討した.結果:109例中13例(11.9%)にRSSが発症しており,端側吻合では37例中7例(18.9%)端端吻合では72例中6例(8.3%)と頻度が減少した.有意差は認めなかった(p=0.1257).しかし,重症例に限れば端端より端側が生じやすかった(p=0.0434).なお,郭清度が増せば発症率も増加したが,年齢,性別,出血量,手術時間,自律神経温存との関係は認めなかった.考察:RSSの成因として残胃の機能的通過障害の存在が考えられた.RSS防止のためには吻合は端側より端端が有利と考えられた.
索引用語
Roux stasis syndrome, distal gastrectomy, Roux-en-Y reconstruction
日消外会誌 41: 1551-1556, 2008
別刷請求先
見前 隆洋 〒723-0051 広島県三原市宮浦1丁目15-1 三原市医師会病院外科
受理年月日
2008年1月30日
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