症例報告
Positron emission tomography/CTが病期診断に有用であった食道原発悪性黒色腫の1切除例
岡田 禎人, 安部 哲也, 新井 利幸, 佐伯 悟三, 広松 孝, 會津 恵司, 中川 陽史, 檜垣 栄治, 山内 康平, 横井 俊平
安城更生病院外科
症例は75歳の男性で,検診で行った上部消化管内視鏡検査で中部食道にメラニン沈着を伴う1型腫瘍を指摘され,生検で食道悪性黒色腫と診断された.Positron emission tomography/CTでは,縦隔内の小リンパ節は複数指摘可能であったが,それらへのtracerの集積は認めず,原発巣以外の病変は指摘できなかった.以上の検査所見より,リンパ節転移のない食道原発悪性黒色腫と診断した.切除手術の意義はあると判断し,右開胸開腹,食道亜全摘,3領域郭清,胸骨後再建術を施行した.切除標本の病理組織学的検査所見は,T1b(SM),N0であり,術前の診断どおりリンパ節転移は認めなかった.術後補助化学療法は行わなかった.術後1年の現在,再発は認めていない.食道原発悪性黒色腫はまれな疾患であり,確立した治療法はなく予後不良といわれているが,早期例では予後が期待できるとの報告もあり,術前の病期診断は非常に重要である.
索引用語
malignant melanoma, esophagus, PET/CT
日消外会誌 41: 1565-1570, 2008
別刷請求先
岡田 禎人 〒446-8602 安城市安城町東広畔28 安城更生病院
受理年月日
2008年2月20日
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