症例報告
低位合流尾状葉胆管枝を合併した十二指腸乳頭部癌の1切除例
川原 隆一, 酒井 丈典, 古川 哲, 石川 博人, 木下 壽文, 青柳 成明, 白水 和雄
久留米大学外科
肝外胆管走行異常は術中胆管損傷の原因として注意が必要である.左右肝管合流部の位置より十二指腸乳頭側に位置する低位合流尾状葉胆管枝を伴う十二指腸乳頭部癌の1切除例を経験したので報告する.症例は64歳の男性で,黄疸にて近医受診CT,上部消化管内視鏡検査にて乳頭部癌と診断され,手術目的に当院入院となった.入院時胆道造影検査にて,総胆管より左肝管近傍へ流入する分枝を認め低位合流尾状葉胆管枝と診断.手術は膵頭十二指腸切除を施行した.手術所見は総胆管の左側より肝内に伸びる径2 mmの尾状葉枝を認めた.術後のCTでも尾状葉枝の拡張認めず退院となった.異所肝管は術中損傷の原因の一つとして重要である.2重支配を持たない異所肝管は結紮してはならないという報告や,径2 mm以上の胆管は再建の必要があると報告されている.術前画像の詳細な検討とともに,低位合流尾状葉胆管枝の存在にも注意が必要と考えられた.
索引用語
carcinoma of the papilla of Vater, accessory hepatic duct
日消外会誌 41: 1584-1587, 2008
別刷請求先
川原 隆一 〒830-0011 久留米市旭町67 久留米大学外科
受理年月日
2008年2月20日
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