症例報告
非治癒切除肝硬変合併胆嚢癌に術後補助化学療法として低用量Gemcitabine投与を行い長期無再発生存中の1例
福本 和彦, 鈴木 昌八, 森田 剛文, 大石 康介, 鈴木 淳司, 稲葉 圭介, 坂口 孝宣, 竹原 康雄1), 馬場 聡2), 今野 弘之
浜松医科大学第2外科, 同 放射線診断部1), 同 病理部2)
症例は55歳の男性で,心窩部痛を主訴とし,当科入院後の検査で肝内直接浸潤と大網浸潤を有する胆嚢癌と診断された.また,B型肝炎ウイルスによる肝硬変を合併していた.癌浸潤のある大網とともに肝S4a+S5部分切除術を行い,肝外胆管切除・胆道再建術を併施した.少量の腹水貯留を認め,リンパ節郭清はD1郭清に留めた.病理組織学的には高~中分化管状腺癌から成るpT4,pN0,pM(-),fStage IV aの胆嚢癌であり,pHM2のため非治癒切除となった.再発を危ぐし,補助化学療法として低用量Gemcitabine(以下,GEM)療法を施行した.術後1年目はGEM 400 mg/回/週,3週投与1週休薬を継続し,以後は隔週投与とした(総投与量48,800 mg).5年経過した現在,再発なく社会復帰している.胆道癌切除例に対する低用量GEM化学療法は,quality of lifeを損なうことなく継続可能な補助療法の一つとして期待できる.
索引用語
gallbladder cancer, low-dose Gemcitabine, adjuvant chemotherapy
日消外会誌 41: 1599-1603, 2008
別刷請求先
福本 和彦 〒431-3192 浜松市東区半田山1-20-1 浜松医科大学第2外科
受理年月日
2008年1月30日
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