症例報告
Non steroidal anti inflammatory drugs起因性小腸隔膜様狭窄の2例
松山 貴俊, 吉村 哲規, 樋口 哲郎, 小林 宏寿, 石川 敏昭, 飯田 聡, 植竹 宏之, 安野 正道, 榎本 雅之, 杉原 健一
東京医科歯科大学腫瘍外科学
症例1は74歳の女性で,関節痛にてAmpiroxicam 27 mg/日を5年前から内服していた.平成17年3月黒色便が出現し,小腸内視鏡検査にて回腸に潰瘍を認めた.Ampiroxicamの服用を中止し経過観察していたが,間歇的な腹痛が出現した.小腸内視鏡検査にて同部の輪状狭窄を認め,小腸部分切除術を施行した.症例2は82歳の女性で,数年前の心筋梗塞発症後Aspirin 100 mg/日を内服していた.平成15年8月,血便が出現し,平成16年1月,間歇的腹痛が出現した.小腸造影検査にて小腸に多発狭窄を認め,腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した.NSAIDsには消化管粘膜障害の作用がある.胃,十二指腸以外では小腸に多発することが多く,多くは潰瘍性病変であるが,隔膜様狭窄により腸閉塞を示すことがある.腸閉塞の鑑別診断にはこの病変を念頭におくことが必要である.
索引用語
diaphragm disease, non-steroidal anti-inflammatory drug, small intestine
日消外会誌 41: 1625-1630, 2008
別刷請求先
松山 貴俊 〒113-8519 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学腫瘍外科学
受理年月日
2008年2月20日
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