症例報告
左側胆嚢と胆管走向異常を伴う急性胆嚢炎に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った1例
松本 直基, 長谷川 洋, 白子 隆志, 坂本 英至, 小松 俊一郎, 久留宮 康浩, 法水 信治, 田畑 智丈, 夏目 誠治, 青葉 太郎
名古屋第二赤十字病院外科
症例は60歳の男性で,併存症に糖尿病.発熱,心窩部痛を主訴に当院を受診.急性胆嚢炎の診断で経皮経肝胆嚢ドレナージ(perctaneous transhepatic gallbladder drainage;以下,PTGBD)を施行した.CT上胆嚢は門脈臍部の左側に存在するように見え,左側胆嚢を疑った.PTGBD造影と内視鏡的逆行性胆管造影検査で,右肝管が胆嚢管に合流する胆管走向異常を認めた.ドレナージで炎症が消退したのち,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.胆嚢の炎症は高度で,胆嚢底部は肝円索の左側に位置していた.門脈臍部を損傷しないよう慎重に胆嚢床の切離をすすめ,また右肝管の損傷を避けるためCalot三角部は剥離せず,胆嚢頸部をステイプラーで閉鎖した.困難症例であったが,腹腔鏡手術を完遂し,第6病日に退院した.右肝管が胆嚢管に合流する胆管走向異常と左側胆嚢が併存する極めてまれな症例であった.
索引用語
aberrant hepatic duct, left-sided gallbladder, subtotal cholecystectomy
日消外会誌 41: 1704-1709, 2008
別刷請求先
松本 直基 〒466-8650 名古屋市昭和区妙見町2-9 名古屋第二赤十字病院外科
受理年月日
2008年2月20日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|