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第41巻 第9号 2008年9月 [目次] [全文 ( PDF 570KB)]
症例報告

上行結腸憩室炎に対する結腸右半切除術後に発症し保存的治療が奏効した上腸間膜静脈血栓症の1例

佐伯 隆人, 松野 剛, 井口 利仁, 藤澤 憲司, 買原 彰彦

済生会今治病院外科

 症例は40歳の男性で,繰り返す上行結腸憩室炎に対し結腸右半切除術を行い,術後21日目に退院した.外来通院中に創周囲の痛みを訴えていたが,理学所見や血液検査所見に異常がなく消炎鎮痛剤の頓用で軽快していた.退院後18日目に上腹部痛が増強したため受診した.腹部造影CTにて上腸間膜静脈の拡張と血栓による内部の透亮像を認め上腸間膜静脈血栓症と診断した.腸管壊死の所見を認めなかったため,絶食とヘパリンの全身持続静注投与にて経過観察した.慢性の経過で血栓を形成したため側副血行路が発達し腸管壊死に至らなかったと考えられ,症状は徐々に軽快し入院13日目のCTでは血栓の縮小を認めた.ヘパリンからワーファリンカリウムの経口投与に切り替え継続した.3か月後のCTでは血栓はさらに縮小し血流の再開を認めた.凝固線溶系異常や門脈圧亢進症などの基礎疾患はなく結腸右半切除術が誘因と考えられた.

索引用語
SMV thrombosis, anticoagulant therapy, colectomy

日消外会誌 41: 1710-1715, 2008

別刷請求先
佐伯 隆人 〒799-1592 今治市喜田村7-1-6 済生会今治病院外科

受理年月日
2008年2月20日

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