症例報告
原発巣局所切除と免疫化学療法により3年半の無再発生存を認めている直腸肛門部悪性黒色腫の1例
中島 亨1)3), 小関 萬里1), 富永 春海1), 片山 晃子3), 本下 潤一2), 谷山 清己2)
国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター外科1), 同 病理2), 広島大学病態制御外科3)
直腸肛門部悪性黒色腫は比較的まれで,予後不良な疾患である.治療法に関して,統一された見解はなく本邦では腹会陰式直腸切断術が多く施行されている.今回,局所切除および術後免疫化学療法にて術後3年半の無再発生存をしている症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は56歳の女性で,肛門腫瘤の脱出を主訴に来院.歯状線上に約20 mm大の有茎性腫瘍を認め,生検にて悪性黒色腫と診断された.患者の希望にて腫瘍局所切除を施行した.深達度はsm,脈管浸潤はなく,切除断端は陰性であった.術後補助化学療法を施行し,術後3年半経過した現在無再発生存中である.本邦報告例の内,局所切除施行例を検索し,根治術としての局所切除術の適応を検討した.潰瘍形成を認めない隆起・有茎性病変で腫瘍径が10 mm以下,深達度sm以浅,局所切除にて完全切除可能な症例での局所切除選択の可能性が考えられた.
索引用語
anorectal, malignant melanoma, local excision
日消外会誌 41: 1746-1751, 2008
別刷請求先
中島 亨 〒734-8551 広島市南区霞1-2-3 広島大学大学院病態制御外科
受理年月日
2008年3月26日
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