症例報告
右側大動脈弓併存下部食道腺癌の1例
小柳 和夫, 藤崎 洋人, 金井 歳雄, 中川 基人, 松本 圭五, 永瀬 剛司, 岡林 剛史, 武田 真, 三角 隆彦*, 潮見 隆之**
平塚市民病院外科, 同 心臓血管外科*, 同 病理診断部**
右側大動脈弓を併存した下部食道腺癌の1手術例を経験した.症例は67歳の男性で,嚥下困難を主訴に前医を受診し,上部消化管内視鏡検査で下部食道に全周性狭窄を指摘され当院紹介された.内視鏡検査上,腫瘍肛門側は食道胃接合部を越えず,生検で腺癌を認めた.術前検査にて右側大動脈弓を認め,3D-CTで下行大動脈起始部の憩室から左鎖骨下動脈が分岐するEdwards分類IIIB型と診断した.左開胸下に食道にアプローチし,動脈管を切離することにより上縦隔の視野展開が良好となった.動脈管を反回する左反回神経を温存し,食道亜全摘術,高位胸腔内胃管再建術を行った.右側大動脈弓を併存した食道癌手術例では術前の解剖学的検索,特に3D-CTによる異常血管の走行を把握することが,安全に手術を行ううえで重要であると考えられた.
索引用語
esophageal adenocarcinoma, right-side aortic arch, 3D-CT
日消外会誌 41: 1785-1790, 2008
別刷請求先
小柳 和夫 〒254-0065 平塚市南原1-19-1 平塚市民病院外科
受理年月日
2008年3月26日
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