術後腹膜播種再発に対しTS-1投与により長期無再発生存中のα-fetoprotein産生胃癌の1例

松尾　彰宣, 倉本　正文, 池嶋　聡, 崔　林承, 坂本　達彦, 田嶋　哲二, 馬場　秀夫^＊, 島田　信也

健康保険八代総合病院外科, 熊本大学消化器外科^＊

　α-fetoprotein（以下，AFP）産生胃癌術後腹膜播種再発に対してTS-1投与が著効し，4年間以上無再発生存中の1例を経験した．症例は68歳の男性で，平成13年11月胃癌に対して幽門側胃切除術を施行した．術前より血清AFP値は高値であり，切除標本の免疫染色検査にてAFP産生胃癌と診断された．術後には血清AFP値は正常化したものの，13か月後に血清AFP値の再上昇，腹部CTで腹水および腸間膜の肥厚を認め，腹水細胞診により癌性腹膜炎と診断した．平成15年3月よりTS-1 100 mg/body/day 4週投与2週休薬で化学療法開始後，腹水は消失し，血清AFP値も正常化した．6か月間で化学療法4コース施行したが，患者の強い希望で化学療法を中止した．しかし，4年間以上経過した現在も腹水貯留認めず，血清AFP値も正常値を保ったままであり，腹部CT，positoron emission tomography（PET）などの画像検査上も再発の徴候を認めていない．

索引用語
AFP-producing gastric carcinoma, peritoneal dissemination, chemotherapy

別刷請求先
松尾　彰宣　〒866-8660　八代市松江城町2-26　健康保険八代総合病院外科

受理年月日
2008年4月23日

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