症例報告
膵solid-pseudopapillary tumor破裂6年半後に腹膜播種再発を来し切除しえた1例
京兼 隆典, 弥政 晋輔, 澤崎 直規, 東島 由一郎, 後藤 秀成, 松田 眞佐男, 村上 榮*
社会保険中京病院外科, 同 病理*
症例は58歳の女性で,2000年2月膵体尾部solid-pseudopapillary tumor(以下,SPT)の破裂による腹腔内出血のため,緊急手術が施行された.2006年9月突然の腹痛で当院を受診.造影CTで腹腔内に数個の腫瘤が描出され,うち1個は巨大な嚢胞状病変であった.SPTの腹腔内再発,腫瘍内出血を疑った.小開腹下生検により確定診断が得られたため,根治術を施行した.上腹部に3~95 mm大の腫瘍が計11個存在し,一部の腫瘍は肝臓,横行結腸,空腸と強固に癒着し,浸潤が疑われたためそれらの臓器を合併切除した.病理組織学的には初回手術時と同様の組織像で,肝臓,横行結腸,空腸に浸潤を認め,悪性のSPTと診断された.P53が10%以上の細胞に陽性であった.膵SPTは腫瘍破裂で発症することがあるが,破裂後腹膜播種再発を来した症例の報告はなく,極めてまれな再発形式であると考えられた.
索引用語
solid-pseudopapillary tumor, rupture, p53
日消外会誌 41: 1815-1820, 2008
別刷請求先
京兼 隆典 〒457-8510 名古屋市南区三条1-1-10 社会保険中京病院外科
受理年月日
2008年4月23日
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