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第41巻 第10号 2008年10月 [目次] [全文 ( PDF 766KB)]
症例報告

短期間に著明な増大傾向を示した空腸の内分泌細胞癌の1例

島村 隆浩, 川村 武, 野口 忠昭, 佐々木 邦明, 松田 壽夫, 川村 統勇, 池上 雅博

秀峰会川村病院外科, 東京慈恵会医科大学病院病理部

 症例は49歳の男性で,左上腹部腫瘤を主訴に受診した.腹部CTでは,左上腹部に10か月前の検査では認めなかった長径15 cmの巨大腫瘤が存在し,空腸腫瘍の術前診断のもと横行結腸+空腸部分切除術を施行した.摘出された腫瘍は,空腸と横行結腸を巻き込んで存在し,全体は最大径15 cm大であったが,空腸の1.8 cm径の病変が原発巣と考えられた.組織学的には原発巣の一部に高分化腺癌を認めるが,大部分は充実性,胞巣状に増生する未分化な腫瘍細胞よりなり,免疫組織学的診断にて内分泌細胞癌と診断した.術後,補助化学療法を施行し,術後1年無再発生存中である.空腸内分泌細胞癌の本邦報告例は自験例を含めて13例であり,極めて予後不良な癌で,全例に遠隔転移か他臓器浸潤を認め,腫瘍成長速度の非常に速い癌と示唆された.本疾患の診断法と治療法は確立されていないので,今後は症例の蓄積が必要であると考えられた.

索引用語
endocrine cell carcinoma, jejunum, carcinoma of the small bowel

日消外会誌 41: 1837-1842, 2008

別刷請求先
島村 隆浩 〒416-0907 富士市中島327 秀峰会川村病院外科

受理年月日
2008年3月26日

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