腸間膜悪性線維性組織球腫の1治癒例

水本　正剛, 檜谷　義美^1）, 明石　英男^1）, 岸渕　正典^2）, 黒川　英司^3）, 山本　仁^3）, 梅下　浩司^4）, 谷口　春生^5）

協立温泉病院外科, 沼隈病院外科^1）, 四天王寺病院外科^2）, 箕面市立病院外科^3）, 大阪大学医学部中央手術部^4）, 箕面市立病院病理^5）

　我々は腸間膜の悪性線維性組織球症で再発手術後13年間無再発生存している症例を経験した．症例は53歳の女性で，腹部腫瘤を自覚し，当院を受診した．精査加療を目的に入院した．軽度の貧血とCA-125の高値を認めた．腹部超音波検査，腹部CT,腹部血管造影検査，穿刺細胞診を行うも確定診断が得られず，腫瘤が急速に増大し貧血が進行したため開腹手術を施行した．腫瘍は主に横行結腸から下行結腸の腸間膜にあり，空腸間膜にも浸潤増殖していた．腸管とともに一塊に摘出した．病理組織学的検査結果はmalignant fibrous histiocytoma（MFH）であり，免疫組織化学検査ではα₁-Antichymotrypsinが陽性であった．4か月後，小腸間膜と大網の間に再発し，再び摘出術を行った．術後化学療法せず，経過観察していたが,1992年から2005年の術後13年後の現在転移再発なく健在である．

索引用語
mesenteric tumor, MFH, α₁-antichymotrypsin

別刷請求先
水本　正剛　〒666-0121　川西市平野1-39-1　協立温泉病院外科

受理年月日
2008年3月26日

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