症例報告
直腸に病変の及んだOgilvie症候群の2症例
西澤 雄介, 諸橋 一, 太田 栄, 小山 基, 村田 暁彦, 佐々木 睦男
弘前大学医学部乳腺甲状腺消化器外科
直腸に病変の及んだOgilvie症候群の2例を経験した.症例1は75歳の女性で,喘息発作に対する入院加療経過中に腹部膨満を生じた.症例2は70歳の女性で,腹痛および腹部膨満感を主訴に近医を受診した.ともに腹部単純X線検査でS状結腸を主体とし直腸に及ぶ著明な拡張を認めた.器質的病変は否定されたが,大腸内視鏡による吸引減圧および経肛門式イレウスチューブによる減圧での改善を認めず,保存的治療の限界と判断し手術治療を選択した.症例1では併存疾患および全身状態から拡張の主体であるS状結腸切除を施行したが,口側腸管の拡張を生じ軽快を得られなかった.症例2では拡張腸管の完全切除を目的に経腹経肛門式直腸切除術を施行し,軽快を得た.本症に対する治療は保存的治療が第1選択ではあるが,治療抵抗性で手術治療が選択される症例が少なからず存在する.今回,手術治療において相反する転機をとった2症例を経験し,文献的考察を加えて報告する.
索引用語
Ogilvie's syndrome, acute colonic pseudoobstruction (ACPO), functional stenosis
日消外会誌 41: 1848-1853, 2008
別刷請求先
西澤 雄介 〒036-8562 弘前市在府町5 弘前大学医学部乳腺甲状腺消化器外科
受理年月日
2008年3月26日
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