症例報告
直腸癌術後縫合不全に続発した直腸精嚢瘻の1例
川崎 誠一, 齊藤 修治, 間 浩之, 富岡 寛行, 赤本 伸太郎, 奥本 龍夫, 絹笠 祐介, 石井 正之, 上坂 克彦*
静岡県立静岡がんセンター大腸外科, 同 肝胆膵外科*
症例は52歳の男性で,RaRb直腸癌に対して低位前方切除術を施行した.総合所見ではA,N1,H0,P0,M0,Stage IIIaであった.術後15病日,発熱,混濁尿を認めた.尿路感染の診断で,保存的加療を施行し,一旦は病状改善した.その後,下血,血尿,気尿を認め,CT,注腸造影X線検査で縫合不全,直腸精嚢瘻と診断した.後日,横行結腸人工肛門造設術を施行した.人工肛門造設術後7か月で縫合不全,直腸精嚢瘻の消失を確認し,人工肛門を閉鎖した.本邦では直腸癌術後合併症として,直腸精嚢瘻の報告はなく,文献的考察を加え報告する.
索引用語
seminal vesicle and rectal fistula, anastomotic leakage, low anterior resection
日消外会誌 41: 1854-1859, 2008
別刷請求先
川崎 誠一 〒411-8777 駿東郡長泉町下長窪1007 静岡県立静岡がんセンター大腸外科
受理年月日
2008年4月23日
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