S状結腸癌肛門括約筋層転移の1例

辺見　英之, 池田　正孝, 山本　浩文, 竹政　伊知朗, 野村　昌哉, 関本　貢嗣, 門田　守人

大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学

　進行S状結腸癌手術後に，脈管性転移により肛門腫瘤を形成したと考えられる症例を経験した．症例は59歳の男性で，2001年11月初旬にS状結腸癌膀胱浸潤の診断のもとS状結腸切除術，膀胱全摘，回盲部合併切除，回腸導管造設術を施行した．腫瘍は1型，中分化腺癌であった．2003年5月に肛門から突出した弾性硬の腫瘤を認め，生検で中分化腺癌と診断された．画像検査では遠隔転移を認めず，直腸コイル併用MRIにて腫瘍の肛門括約筋層浸潤を認めた．2003年7月下旬に腹会陰式直腸切断術を施行した．病理組織学的検査では，原発S状結腸癌と類似の中分化腺癌を肛門括約筋層に認め，瘻管を認めず肛門上皮への露出を認めなかった．以上より，本例は原発巣から脈管性に肛門括約筋層へ転移したと考えられた．脈管性に肛門転移を来した例はまれであり，文献的考察を加え報告する．

索引用語
sigmoid colon cancer, anal metastasis

別刷請求先
辺見　英之　〒565-0871　吹田市山田丘2-2-E2　大阪大学大学院外科学講座消化器外科

受理年月日
2008年3月26日

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